小さな大企業「エム・ケー」が挑む土地活用の新たな姿とは。かつての不動産投資は、安く仕入れた不動産を高く転売して差額を得るという手法が主流だった。しかしいまでは、その手法が成り立たなくなっている。転売を繰り返して利益を得るのではなく、所有する不動産を上手に活用し、長期的かつ安定的な収入を得ることをめざすのが現在の主流である。特に都心部などでは投資用のワンルームマンション市場が活況を呈しており、最近では会社勤めの若い男性や女性などにも不動産投資家が増えてきている。しかしその一方で、むかしからの地主や土地オーナーは、これまでに経営経験がない人も多く、そうした人が自分の持つ遊休土地にアパートやマンションなどを建てて賃貸住宅経営事業に手を出すのは、リスクが高いと言える。賃貸住宅経営を成功させるにはノウハウが必要であり、立地などによっては空室が埋まらないケースも少なくないからだ。だからといって、利益を生まないただの空き地にしておいても税金はかかる。このような地主や土地オーナーに、個々の物件に応じた不動産の有効活用を提案し成長しているのがエム・ケー株式会社だ。20年余りにわたって培ってきた、地権者や土地オーナーから物件を借り上げてテナント(事業者)に賃貸する「ヘッドリース事業」(一般に「サブリース」と言われるものを、エム・ケーではこう呼んでいる)のノウハウと実績を強みに、東京の三多摩地区で確固たる地位を築いている。さらにエム・ケーの独自性を印象づけているのは、市街化調整区域における大規模土地開発を得意としている点だろう。地権者の同意を得たり、開発の許認可を取得することが、きわめて困難なため、同業他社の多くが敬遠する市街化調整区域の大規模開発を、いくつも手掛け、成功させてきた。しかもエム・ケーは社員数31名という、けっして大きな会社ではないのだ。本書は、市街化調整区域の開発に取り組み、土地活用に革命を起こした、エム・ケーの事業活動を紹介するとともに、「常に時代の需要を鋭く察知し、柔軟に対応しながら100年企業をめざす」と語る創業者・小林勁の経営理念および人生哲学に迫る。◆目次第1章 土地は「所有」から「活用」へ第2章 不動産の新たな可能性を切り開く多様性第3章 新たな文化を生む市街化調整区域の開発第4章 地主と地域社会の需要に応えるヘッドリース事業第5章 創業者・小林勁の経営理念と人生哲学第6章 オンリーワン企業「エム・ケー」が描く未来戦略