果てしなきかと思われた〈郊外〉への拡張のその果てに、〈都心〉への縮退を余儀なくされつつある首都・東京。「渋谷ヒカリエ」や「東京スカイツリー」など新たな景観スペクタクルの登場と裏腹に、街の固有性に根ざしたカルチャーが急速に求心力を失う中で、地理と文化の関係はいかに再編されうるか。それぞれのアプローチで都市に挑む四者を迎え、〈夜の東京〉の未来像を展望する。【目次】・「東京の現在」を規定する2つの動き・私鉄沿線型都市カルチャーの凋落・代官山蔦屋・渋谷ヒカリエ・丸ビル・「地理の死んだ街」で、どこに住むか?・自動車道路網の描く「裏東京」・新たな都市型ライフスタイルの構築に向けて【著者プロフィール】門脇耕三〈かどわき・こうぞう〉1977年生。建築学者・明治大学専任講師。建築構法、建築設計、設計方法論を専門とし、公共住宅の再生プロジェクトにアドバイザー/ディレクターとして多数携わる。共著に『LCCM住宅の設計手法』(建築技術)、論文に「2000年以降のスタディ、または設計における他者性の発露の行方」(10+1ウェブサイト)、作品に「目白台の住宅」(メジロスタジオと協働)など。中川大地〈なかがわ・だいち〉1974年生。文筆家・編集者。アニメ、ゲーム等のサブカルチャーから都市論、科学、思想史まで、虚構と現実を架橋する各種評論・ルポ・雑誌記事等を執筆。近著に『東京スカイツリー論』(光文社新書)。編著に『クリティカル・ゼロ ~コードギアス 反逆のルルーシュ~』(樹想社)など。速水健朗〈はやみず・けんろう〉1973年生。編集者・ライター。メディア論、20世紀消費社会研究、都市論、ポピュラー音楽などのテーマを中心に、雑誌や書籍の企画・編集・執筆を行う。著書に『ケータイ小説的。』(原書房)、『ラーメンと愛国』(講談社現代新書)、『都市と消費とディズニーの夢―ショッピングモーライゼーションの時代』(角川oneテーマ21)など。藤村龍至〈ふじむら・りゅうじ〉1976年生。建築家・東洋大学専任講師。藤村龍至建築設計事務所代表を務め、住民参加型のシティマネジメントや日本列島の将来像の提言など社会に開かれたプロジェクトを展開。編著・共著に『アーキテクト2.0』(彰国社)、『3・11後の建築と社会デザイン』(平凡社新書)、『コミュニケーションのアーキテクチャを設計する』(彰国社)など。宇野常寛〈うの・つねひろ〉1978年生。評論家、本誌編集長。著書に『ゼロ年代の想像力』(早川文庫JA)。『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)。濱野智史との共著に『希望論』(NHK出版)、石破茂との共著に『こんな日本をつくりたい』(太田出版)。企画・編集参加に「思想地図 vol.4」(NHK出版)、「朝日ジャーナル 日本破壊計画」(朝日新聞出版)など。【編集長・宇野の推薦コメント】これはとにかく話していて、取材していて楽しい記事でした。鉄道依存の街としての「昼の東京」を裏返したときに出現する自動車網で結ばれた「夜の東京」、地理と文化の関係が浮上させる「都市から建築へ」というテーゼ、そして戦後的大企業文化の衰退が産んだあたらしいホワイトカラー層の出現……今号でいちばん「未来」を感じさせる、ワクワクする記事に仕上がったと思います。※この本は、2012年12月25日発行の雑誌『PLANETS vol.8』に収録されたコンテンツを、記事ごとに分割して電子書籍化したものです。購入方法はこちら http://wakusei2nd.com/P8