もののことは、株式会社budoriが発行しているリトルプレスです。「もの(者・物)」にまつわる「こと(事)」をまとめています。本書では、「もののこと」のvol1からvol5までの5冊をまとめて総集編としています。■vol.1 非電化+手ぬぐい職人が一枚一枚手でつくる、注染の手ぬぐい非電化工房を主宰する藤村靖之さんは「これまでの社会は『快適、便利、スピード』を豊かさの指標に、電気を大量に消費してきた。でも、ぬくもりのある人間関係や、手足を使って技を磨く喜びなど、本当の幸せや豊かさは、電力消費を少なくしても得られるのではないか」と問い掛けています。近年、手ぬぐいの魅力が見直され、街のあちらこちらで見かけるようになりましたが、大量に・安く・早くつくることのできるプリントしたものも多く、昔ながらの染工所はどんどん少なくなっています。一枚一枚手作業で作られる注染であっても、プリントと同じような価格、スピードを求められるためです。明治から続くこの伝統的な染色技法を知ってもらう。そして生活の中に取り入れ、注染手ぬぐいの良さを感じていただくことで、豊かさの基準を見直すキッカケになれば幸いです。■vol.2 東北グランマ+オーナメント働くよろこびとこころの交流を2011年3月11日の東日本大震災は、東北地方を中心に甚大な被害をもたらし、多くの命、財産、そして仕事を奪いました。沿岸部で漁業や衣料の製造に携わる女性たちもまた一瞬にして「仕事」を失いました。不安と孤独を抱える人々が日常を取り戻すために「日々の仕事」を創りだす。手を使い、会話を楽しみ、一生懸命ものを作る。それが生活の糧となり、明日に生きる喜びの源となることを願うきもちから「東北グランマのクリスマスオーナメント」が生まれました。■vol.3 福来旗+手ぬぐい鉄と魚とラグビーの町福来旗(ふらいき)手ぬぐいは、東日本大震災で甚大な被害を受けた、岩手県釜石市を本拠地として活動しているラグビーチーム「釜石シーウェイブス」の応援グッズとして作られました。震災で、釜石シーウェイブスの活動を支えてきた地元のスポンサー企業、法人サポーター、個人サポーターが甚大な被害を受け、今後のチーム運営が厳しい状況にあります。少しでも多くの人に、釜石やラグビーについて興味を持ってもらい、応援の輪が広がるようにとの願いを込めて作った手ぬぐいです。福来旗は、釜石ラグビー応援のシンボル。チームの勝利と、復興の願いが込められたこの福来旗手ぬぐいが、各地のグランドではためくようにと願いをこめて。■vol.4 釜石+復刻ジャージ東北復興は、ラグビーと共にあり。新日鐵釜石ラグビー部が前人未到の日本選手権7連覇を成し遂げた当時と同じ生地・同じメーカーにより完全復刻した伝説のジャージ。同じ想いを抱き、復興を支援する仲間たちにも、このジャージを着てもらいたい。そんな想いで復刻されたジャージにまつわる「こと」を紹介しています。■vol.5 東京の木+つくるキット人の手で造られた山は、人が手をかけないと生きていけない。経済の成長にともなう大規模な住宅用建材の需要にこたえるため、自然林を伐採し、大量の杉や桧が植えられた東京の山。人の手で造られた山は、人が手をかけなければ、維持することができなくなってしまいます。ところが、長い年月をかけて伐り時を迎えた木は、価格の安い外国産材におされ需要が低下。林業は衰退し、バランスを崩しはじめた山では現在、花粉症問題で本来の“伐り旬”を無視した伐採がすすめられています。『もののこと』vol.5では、こんな日本の山が抱えている現状を紹介しています。